「一八〇秒の熱量」山本草介

36歳の“崖っぷちボクサー” 米澤重隆。戦績は平凡であり現役終了まで残された時間はあと1年弱。安定した職業に就かず、不規則なシフト勤務を続け、その合間に過酷なトレーニングを自らに課す。この男を突き動かすものはいったいなんなのか… 興味本意で取材し…

「瑠璃の雫」伊岡瞬 角川文庫 2011

アルコール依存症の母親と、小学校3年生の弟と暮らす小学校6年生の美緒。家庭に、学校に、居場所がない彼女のもとに、元検事の丈太郎が現れる。彼の娘は、過去に誘拐されて現在まで行方不明というだという。親身に接する丈太郎に美緒は心を徐々に開いていく…

2021年中学入試にコロナ関連の問題は出るのか

※この記事はあくまで個人的な見解です。記事の内容がもとで生じたいかなる損害や損失についても当ブログでは一切の責任を負いかねます。 出題されたとしても、問題の導入でさらっと触れる程度で終わるのではないかと思う。例えば、「コロナをきっかけとした…

コロナ狂騒曲と塾講師と

半年で数名の派遣講師が消えた。授業数が減ったことで実入り(授業量)が減ったことが原因だろう。いずれも40代以上の方々は現場で圧倒的に必要とされている方以外は切られてしまったようだ… 不況になれば真っ先にそのあおりを食う。それがいまの雇用の仕組…

「昭和16年夏の敗戦」猪瀬直樹 1983

"日本必敗"。これが「総力戦研究所」に召集された若手精鋭らが出した結論だった。造船能力、予想消耗艦船、燃料需要量、燃料供給量などのデータ持ち寄り、シミュレーションをしてたどり着いた答えは"決して戦争をしてはいけない"。昭和天皇きも煎りで首相に…

「七人のイヴ」ニールスティーブンスン 日暮雅通・訳 早川書房 2018

[ネタバレ] 突如、月が七つに分解して、地球に隕石になって降り注ぐことがわかった。残された時間は2年。人類は人物を選別し、わずかな人間を国際宇宙ステーションを基礎とした「箱舟」へと送り込む。やがて<ハードレイン>が始まり、故郷の地球は火の球体と…

「ヤクザときどきピアノ」鈴木 智彦 CCCメディアハウス 2020

5年に及んだヤクザの密漁取材。その校了明けに見た映画の主題歌・ABBA「ダンシング・クイーン」が著者の魂を直撃した。涙を流しながらピアノで"この曲を弾く"と決めピアノ教室を訪れた著者は、運命の人「レイコ先生」に出会う。自分でも弾けるか、と問う鈴木…

「苦海浄土-わが水俣病-」石牟礼道子 講談社文庫 1972

故郷・水俣市で発生した水俣病。石牟礼は患者に自らの魂を”憑依”させ、病に侵されながらも人間の尊厳を失わない彼らの"詩"を紡ぐ。未知の症状に苦悩する漁民と豊かさを希求する市民の利益相反が実に悲しい。

八ヶ岳(権現岳-赤岳-美濃戸口)

この水曜日、八ヶ岳ハイキングに出かけた。 いまの時期、高峰の山に登ることはほとんどない。3年前の阿弥陀岳、あるいは千ノ倉岳ぐらいか。その年は、積雪量が少ない年で、残雪に苦しめられた記憶はない。今年はどうか。ネットを徘徊して情報を集めていると…

5/5 丹沢

自宅で寝て過ごしたゴールデンウィーク。明日は仕事、という段階になってこれではまずいと思い、急遽ハイキングに出かけることにした。意気揚々と、スリッパを引っ掛けて家を出たのはいいものの、登山靴をザックに入れ忘れたことに大手町駅で気づいた。自分…

「窓の灯」青山七恵 

「窓の灯」青山七恵 ただの隣人、されど隣人。 ミカド姉さんがきりもりする喫茶店で住み込みのアルバイトをはじめたまりもは、自室から見えるアパートの一室に住む青年が気になってしかたがない。ことあるごとに観察するばかりでなく、自分がその部屋に連れ…

奥秩父縦走

出発の朝、私は酒がはいっていた。 良識を麻痺させようとしていたのだ。再就職やら勉強やら将来設計を真面目に組み立てなければならない時期であるのに、今日から4日間を遊びに費やそうとしている。それを私の中の良識はクロと判定していた。夜中に準備をし…

こんな右腕が欲しい

寄生獣 岩明均 地球環境を憂慮した何者かが、寄生生物を地上に送り込む。宿主は人間だ。寄生部位は脳。人間の意識を完全に乗っ取ることが目的だ。だが、ひょんな幸運から脳への到達へ失敗し、主人公のように右腕を寄生され、寄生生物と人間が奇妙な共同生活…

何でもレコーディング始めました。

何か目的を達成するためにかかった時間をこと細かにレコーディングしていく。誰が何と言おうと時間は取り戻すことのできない世界で一番貴重な財産である。このレアな財の使い途について、あまりにも無頓着に過ぎる。そういう反省を込めて、三日坊主覚悟でち…

夜明け前の憂鬱

特別な用事がない限り、必ず寝るのは夜明け前になる。学生時代から感じていたが、この時間がことさら嫌いである。新しい活動を始めなければいけない時間に居合わせることで、私の中の眠っていたエンジンを再起動させる必要性、もっというと義務感を感じてし…

痛読した。

「黒い迷宮」リチャード・ロイド・バリー 早川書房 きのう1日をこの本に捧げた。 痛読とは、「読み始めたらページをめくる手が止まらなくなり、気がついたら朝だった」という読書好きが愛してやまない時間のスリップ現象のことではない。それは「このまま読…

丸の内彷徨

「天気の良い平日は、写真を撮ろう」 何度そう思って、やっぱり面倒臭くなって家で寝る、という愚行を繰り返したことだろう。今日は、先日の沢登りでアクティブになった心身がまだ生き残っているようで、普段は机の脇にぞんざいに置いてある一眼レフが、ひと…

新茅ノ沢【登山教室】

人生初の沢登り。やりたいことの先延ばしをしまくった結果、山登りを始めてから15年目の初体験となった。Non先延ばし!! 内容をざっくり。1日目は座学講習、人工壁クライミング、懇親会など。2日目は朝4時起床で5時出発からの15時着。講師は山岳会からやっ…

早戸大滝、丹沢山

2018.5.2 単独 本間橋7:13 雷平8:03 雷平8:15 雷滝8:37 平戸大滝10:55 平戸大滝11:10 丹沢山13:36 丹沢山14:17 本間ノ頭15:20 本間ノ頭15:30 本間橋16:40 最近、ハイキングをしても面白くないと感じていた。山と高原地図上の実線ルートしか歩いていないから…

寿げ!

なんとも嬉しいことにこの6月、中学生以来のくされ縁を保っていた親友が結婚する。彼とはお互い30歳を過ぎたあとも、たまの休暇に海外旅行に連れだったり、暇な休日の夜に酒を酌み交わしたりしていた。そしてその一方で、私は少なからず気を揉んでいた。この…

高尾-陣馬縦走 その3

高尾陣馬縦走、第三弾。今日は回復および体力強化の具合を測るために、同じ装備で縦走に向かった。 各ピークで写真を撮るために立ち止まる以外は、ノンストップで陣馬山ピークまで歩いた。ルートの雪はほとんど溶けていて歩きやすかった。ところどころに霜柱…

気力を振り絞る。

左足の痛みは、だいぶ治ったようだ。ほのかに痛みはあるものの、1日で完治に近づいたということは筋肉痛のようなものだったのだろう。まだ、縦走用の体が出来あがっていない。無理は禁物だが、徐々に仕上げていく必要がありそうだ。 痛みを乗り越えて歩くに…

高尾-陣馬縦走 その2

またしても、高尾-陣馬を縦走した。ただし、荷物は多めで臨んだ。 水2L、ガス缶、コッヘル、EPI、ヘルメット、カラビナなどなど。全重量は10kgくらい。前回は荷物も軽くてスイスイ行けたが、陣馬からの下りで左足が痛み出した。今回は荷物も重くどんな山行に…

高尾-陣馬縦走

久しぶりに山へ出かけた。 高尾から陣馬への17kmの低山ハイク。アップダウンも少なく、ブランク後のリハビリにはうってつけだろう。 本日は晴天なり。霞みに覆われていたが、高尾山頂から丹沢・富士山がよく見えた。ルートは日陰に雪が固まった氷がところど…

この春、伊勢神宮へ

3月末に伊勢神宮へ旅行することが決まった。 滅多にない機会だ。これを機に少し日本文化の勉強でもしようと、伊勢神宮関連の本を4冊買った。いずれもガイドブックの類ではない。 ・「伊勢神宮の衣食住」矢野憲一 角川ソフィア文庫 ・「お伊勢まいり」西垣晴…

お金がない時に

ヤマです。 お金がないときは、脳内マップを広げる絶好のチャンスと考えよう。本を読んで思索を深める。巡り巡る想念をいちど言葉で切り取って、いくつかをつなげてみる。そしてそれをアウトプットする。どんな行動も実践に移すとお金がその分コストかかるの…

Road to 個人事業主

ヤマです。連投です。 先ほど、自宅の周辺をランニングしてきました。時間にして約5分。…これがめっさキツかった。 2年前は2000mを超える稜線歩きを含む約10時間のトレイルを歩いていた。あの時の体力は何処へやら。想像以上に体力が落ちています。毎日、寝…

深夜に思うこと

ヤマです。 夜更かしが過ぎると、感情が解放されて恥ずかしいことでも堂々と語れるようなメンタリティになります。こういう状況のとき、あまり攻撃的なことを書くと後々後悔することになることは、これまでの人生で幾度となく味わっていることでもあります。…

鋭鋒シスパーレ。未踏ルート登頂成功のすべて。

ものすごい映像の数々だった。 轟音をあげる雪崩に巻き込まれる様子、斜度70度の氷壁のトラバース、そして滑落の瞬間。アルパインクライマー平出和也と中島健郎の死闘が、ヘルメットに装着された高画質アクションカムで捉えられていて、臨場感がハンパない。…

遭難者救出の瞬間(ナンガ・パルバット)

まさにリアル"岳"。 今日は、山岳救助の話。 世界第2位の高さを誇る高峰「K2」に登頂中だったポーランド隊。彼らは「K2」冬季初登頂の偉業達成に向けた挑戦の最中だった。そこへフランス隊遭難の報が届く。遭難者の多さから人喰い山と称される「ナンガ・パル…