「昭和16年夏の敗戦」猪瀬直樹 1983

"日本必敗"。これが「総力戦研究所」に召集された若手精鋭らが出した結論だった。造船能力、予想消耗艦船、燃料需要量、燃料供給量などのデータ持ち寄り、シミュレーションをしてたどり着いた答えは"決して戦争をしてはいけない"。昭和天皇きも煎りで首相に任命された東條は天皇の意を汲み最後まで開戦に反対していたが、帝国憲法の仕組み的欠陥が統帥部(大本営)の独断を許してしまう。そして御前会議では開戦を前提とした数値が示され日本は戦争の泥沼へと否応無しに踏み込んでいく。そして「総力戦研究所」のシミュレーションは現実の戦争と酷似していた。初戦は優位に運ぶが徐々に英米、そしてソ連に圧迫されていく。