2020-01-01から1年間の記事一覧

「一八〇秒の熱量」山本草介

36歳の“崖っぷちボクサー” 米澤重隆。戦績は平凡であり現役終了まで残された時間はあと1年弱。安定した職業に就かず、不規則なシフト勤務を続け、その合間に過酷なトレーニングを自らに課す。この男を突き動かすものはいったいなんなのか… 興味本意で取材し…

「瑠璃の雫」伊岡瞬 角川文庫 2011

アルコール依存症の母親と、小学校3年生の弟と暮らす小学校6年生の美緒。家庭に、学校に、居場所がない彼女のもとに、元検事の丈太郎が現れる。彼の娘は、過去に誘拐されて現在まで行方不明というだという。親身に接する丈太郎に美緒は心を徐々に開いていく…

2021年中学入試にコロナ関連の問題は出るのか

※この記事はあくまで個人的な見解です。記事の内容がもとで生じたいかなる損害や損失についても当ブログでは一切の責任を負いかねます。 出題されたとしても、問題の導入でさらっと触れる程度で終わるのではないかと思う。例えば、「コロナをきっかけとした…

コロナ狂騒曲と塾講師と

半年で数名の派遣講師が消えた。授業数が減ったことで実入り(授業量)が減ったことが原因だろう。いずれも40代以上の方々は現場で圧倒的に必要とされている方以外は切られてしまったようだ… 不況になれば真っ先にそのあおりを食う。それがいまの雇用の仕組…

「昭和16年夏の敗戦」猪瀬直樹 1983

"日本必敗"。これが「総力戦研究所」に召集された若手精鋭らが出した結論だった。造船能力、予想消耗艦船、燃料需要量、燃料供給量などのデータ持ち寄り、シミュレーションをしてたどり着いた答えは"決して戦争をしてはいけない"。昭和天皇きも煎りで首相に…

「七人のイヴ」ニールスティーブンスン 日暮雅通・訳 早川書房 2018

[ネタバレ] 突如、月が七つに分解して、地球に隕石になって降り注ぐことがわかった。残された時間は2年。人類は人物を選別し、わずかな人間を国際宇宙ステーションを基礎とした「箱舟」へと送り込む。やがて<ハードレイン>が始まり、故郷の地球は火の球体と…

「ヤクザときどきピアノ」鈴木 智彦 CCCメディアハウス 2020

5年に及んだヤクザの密漁取材。その校了明けに見た映画の主題歌・ABBA「ダンシング・クイーン」が著者の魂を直撃した。涙を流しながらピアノで"この曲を弾く"と決めピアノ教室を訪れた著者は、運命の人「レイコ先生」に出会う。自分でも弾けるか、と問う鈴木…

「苦海浄土-わが水俣病-」石牟礼道子 講談社文庫 1972

故郷・水俣市で発生した水俣病。石牟礼は患者に自らの魂を”憑依”させ、病に侵されながらも人間の尊厳を失わない彼らの"詩"を紡ぐ。未知の症状に苦悩する漁民と豊かさを希求する市民の利益相反が実に悲しい。