コロナ狂騒曲と塾講師と

 半年で数名の派遣講師が消えた。授業数が減ったことで実入り(授業量)が減ったことが原因だろう。いずれも40代以上の方々は現場で圧倒的に必要とされている方以外は切られてしまったようだ… 不況になれば真っ先にそのあおりを食う。それがいまの雇用の仕組みがであることは万人が理解している。よってこの事実を倫理的にあれこれ言いたてたり思案をめぐらせても、目の前の現実に建設的に対処したことにはならないだろう。それが無意味だとは言わないが、今の立場でやることではないことを理解するくらいには私も成熟した。

 いなくなった人たちに共通することは何か。若さが足りなかったのか。大した成果を残していなかったのか。圧倒的な強みがなかったのか。保護者からの信頼が足りなかったのか。色々と欲張りすぎたのか。勤務態度に問題があったのか。足りない知識を必死で蓄えようとする当たり前の職業努力がなかったのか。努力を見せびらかす人ほど焦点の定まらない努力をしているからか。それとも、そもそもこれが派遣社員のたどる標準的な運命なのか。そこから生き残る人は稀な例外なのか。

 それらをよく考えてみて自分ごととして捉える。どうやったら落とし穴にハマり、地獄への階段を降りることになるのか。そうした上で地獄への入り口をどうやったら回避できるのかを考え実践していくことこそが建設的というものだ。"天国へ至る唯一の道は地獄への道を熟知すること"。この"熟知"という部分が重要で、上であげたことは、いなくなってしまった方々に対する私の想像にすぎない。

 こうしたセンシティブな情報は生半可な態度や覚悟ではアクセスできない。でも、地獄へは死んでも落ちない(言葉がヘンだが)という態度と覚悟を固めてアクセスしてみるしかない。