丸の内彷徨

「天気の良い平日は、写真を撮ろう」

 何度そう思って、やっぱり面倒臭くなって家で寝る、という愚行を繰り返したことだろう。今日は、先日の沢登りでアクティブになった心身がまだ生き残っているようで、普段は机の脇にぞんざいに置いてある一眼レフが、ひときわ自分の生活に彩りを添える格好のアイテムに思えた。

 ということで、かねてから撮影したかった東京丸の内のビル街に出かけた。赤レンガが美しい東京駅と近代的建築の粋を集めたような高層ビルの数々に、シャッターを切る指が唸った。といっても2時間くらいは紀伊国屋書店で立ち読みをしていたので、撮影行自体は長くはない。

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 それにしても東京駅周辺は垢抜けている。上海站のマンモス広場(1000人は収容できてしまうのではないかという広大な駅前広場。勝手に命名)を歩いていると、大陸の合理主義に由来したかのような無味乾燥な空間にただ疲れを感じるだけだが、東京駅前の広場は駅自体の装飾や広場に設えられた芝生、街灯、ベンチ、車寄せなどが小洒落ていて心憎い。それぞれの間隔が周到に計算されているようで、人々の距離感が絶妙で不快感を覚えない。f:id:yama_ak:20180522231607j:plain

 東京は世界的に見れば、アジアの辺境の少しばかり豊かな成熟した都市だ。でもカメラを片手に回ってみると小粋な配慮が随所に散りばめられたちょっとした箱庭であることに気づく。